逢魔ヶ時:前編(追儺の一族)
ただの帰り道。ただの四つ辻。いつも通り曲がった先、そこはもう異界だった。
それは蒼白い髪を持つ異形だった。そして違う制服を着た男子高校生を食べていた。
人の形を模した異形。それに対しての反応ができないで、犬見は棒立ちになった。う、ともあ、ともつかない声が喉から漏れる。
吐き気がするような血の臭い。そして破られた内臓が放つ以上な臭気。後ずさりしても、あまりの恐怖に逃げられなかった。
そして犬見の手から学生鞄が落ちる。がちゃんという物音に反応して、ソイツは振り向いた。
目のない、口が縦に三つも並ぶ異相の人外だった。悲鳴を上げることもできず、立ち尽くしているとソイツはゆっくりと犬見に迫ってくる。
金縛りにあったような犬見の手を、暖かい物が握る。
「犬見先輩、走って!!」
後輩の草薙春姫だった。


